CaramelCamel’s blog

キャメルの地味なアメリカ生活

12: ガンの告知

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マンモトーム生検を受けた数日後、検査センターの看護師さんとの予約の日。

生検での傷が気になって、検査の結果を聞きにいく(もしかしたら?)という心構えが出来ていませんでした。

何しろ、生検のショックが大きく(生検後、自分の胸に刺さっていた太くて長い針とそこに付いていた血を見て、ゾッとしてしまったため)、やっとその傷から心身ともに立ち直りつつあるところだったから、傷口の方が心配で何のためにそんな大変な検査を受けたのかが2の次で、自分が病気かもしれないということをどこか見て見ぬふり。

看護師さんの部屋へ通されると、看護師さんはプライバシーを確保できるようドアを閉め、私に椅子に腰を掛けるように促し、まず、その後の傷の様子はどうか出血や熱などが無いかなどを確認。
それから
「あなたに今日はお話ししなければならないことがあるの」
「残念だけれどいいニュースではない」
と前置きして
「生検の結果、初期のガンが見つかった」
ことを伝えてくれました。

たとえどんなに初期でも、自分がガンであると知った瞬間、準備のできていなかった心への衝撃は大きく涙があふれてきました。
動揺しつつも次の人の予約もあるかもしれないと、話を聞こうとすると、看護師さんはそれを察してティッシュペーパーの箱をそっと差し出しながら
「大丈夫、時間はあるから。落ち着いてからお話しましょう。」
とひとしきり泣き終わるまで待っていてくれました。

看護師さんは、ガンが見付かったことはいいニュースではないけれど
・見つかったガンはごく初期のものであること(DCIS という乳管内にとどまっている非浸潤がんで、ステージでいうと0期)
・治癒が可能であること
・まだ転移性のガンにはなっていないこと(でも、放っておくと転移性のガンに発展するおそれがあること)
・治療には手術が必要なこと
・このステージであれば、手術が終われば抗がん剤(キーモセラピー)はしないことが多いこと
・女性ホルモンで大きくなるタイプなので、今後5年から10年ホルモン治療を受ける可能性が高いこと
・ホルモン治療は抗がん剤に比べて副作用が穏やかだけれど、更年期のような症状が出る可能性があること
などをイラストなども交えて丁寧に説明してくれました。

その後、英語が母国でないことを考慮して、電話通訳を入れてもう一度大切なところを説明。
(通訳って、実際に話した人=看護師さんの言い回し、言葉の選び方、相手への思いやりや優しさみたいなものが、バサバサっとそぎ取られて言葉だけが日本語になってる、吹き替えではなく棒読みなんだなぁなんて思いながら、自分で直接聞いて理解したことと相違が無いことを確認。)

看護師さんも、直接話して理解していることが分かるようで、通訳はササッと切り上げました。

そして、今後のことへ。
そういえば、私、この数日後に日本へ里帰りの予定だった。。。ふと、我に返り日本へ旅行に出掛けてもいいか尋ねると、
看護師さんは、私の日程を確認して「大丈夫。行ってらっしゃい。」
でもその前にと:
・血液検査の遺伝子テストを受けるように勧め(保険会社に連絡し保険適用になると確認済み)
・執刀医を決め(執刀医はこの先生がいいと思う、私の姉妹もこの先生に手術してもらった。あなたの主治医(内科医)もこの先生好きと言っていたと主治医にも連絡済み)
・MRI検査の予約を取り
日本から戻ってきたら、検査結果が出そろった状態で執刀医に会えるように、取り計らってくれました。

病気になることも、まして手術が必要になることなど全く想定していなかったし、どの執刀医が良いかなんて見当のつかない状況で、ただ告知だけ受けてもどうにもならなかったので、ここまで手取り足取り面倒を見てもらえたのは、本当にありがたかったです。
アメリカ(私の経験した限り)では、健診などを受けても結果が良い場合は手紙だけが後からひらっと送られてくるだけだったので、追加の検査が必要になったり治療が必要だと判断した場合は、ちゃんと面倒見てくれるんだと、逆にそういう人に時間が割けるように元気な人にはシステムから自動で手紙を送っていると知りました。

そして、素朴な疑問。
・どうして乳がんになってしまったのか?
・この1年、過ごし方によっては防ぐことが出来たのではないか?
については、

タバコとかアルコールとかリスクを高くする要因はあるけれど、それには該当しない。ものすごく健康で体力もあるアスリートのような人でもある日乳がんなることはある。そういう人たちを沢山見てきた。もっともっとずーっと放っておいて(何か見つかったら怖いということも含めて)、具合が悪くなってから検査してみたらもう全身に広がっていて完治が難しい状態な人も沢山いる。だから、検診を受けて早い段階で見つかったのは、ちゃんと自分を大切にしているということ、よくやった。あなたは健康だから(ガンでも健康らしい)よかった(良い経過が望める)。そして、今まで通り、いつも通り生活していいし、日本に行っても好きなものを食べて、好きなことをして楽しんでくるようにとハグをして、送り出してくれました。

帰り際に、ピンクリボンのボランティアからのギフト(靴下、ノート、ペン、ハーブティー、ボランティアの子供が書いた手紙などが入った小さなバック)をもらったら、なんだかかえって悲しくなってしまったけれど。

この検査センターの看護師さんには、この後もずーっとお世話になっています。いつでも、何でも相談していいというスタンスで、一つの病気に対して1人の主治医、一ヶ所の病院というのではないアメリカでは、病院・医師・検査などのコーディネートを上手く進めていかないといけないので、看護師さんによるナビゲートは本当に助かりました。

こんなに元気でも、症状も無くても、病気ということもあるのね。。。



キャメル